けだもの系王子
第11章 零斗、チャラ男系?
さらさらした栗色の髪に、長身の美形。
綺麗な顔立ちだから、目が合ってしまうとドキドキしてしまう。
免疫がないから、苦手だ。
「葉月ちゃんはホールより、キッチンの仕事のほうが興味あるみたいだね?」
言い当てられて、しゅんとなる。
人手が足りないからウェイトレスの採用になって、がっかりしたんだった。
人とまだ上手く話せないから、特に男の人は苦手だから、苦痛ではある。
だけど、将来喫茶店を経営したいから、接客も大事だし。
「ウェイトレスの仕事も楽しいですよ?人前で話するのも苦手ですけど、将来の為ですから」
いやいやながらバイトしてると、思われたくないから笑ってみせる。
「……っ、
たぶん、君が可愛いから、ウェイトレス採用になっただけだと思うけど、もう一度オーナーに相談するといいよ」
幸人さんが片手で口を押さえて、そっぽを向いた。
「……?
はい、ありがとうございますっ」
「じゃあ、これ、お願いするね」
ケーキを受け取って、幸人さんの指が軽く触れた。
「はいっ……っ!」
返事をして受け取ると、背後で笑い声がした。
「幸人が照れてる、笑える」
振り返ると大学で会った、零斗っていう人だった。
「なに、零斗、バイト久し振りだな?」
幸人さんの表情が変わり、気さくに零斗さんに声をかけている。
「サークル活動に駆り出されて色々とね?ねぇ、葉月ちゃん?」
意味ありげな視線にどぎまぎする。
「あ…の、なんで名前?」
零斗、さんが制服の胸のポケットから何かを出した。
スッとあたしの手を取り、持たされた物を見て驚いた。
「学生証落とすとか、何かのお誘いかと思って、期待するよな?」
「そんな事っ、……あっ、ありがとうございますっ」
ぱっ、と手を離す。
改めて見ると、零斗さんがウェイターの制服を着てるのに気付く。
という事は。
「バイトここなんですかっ?」
「まあね、コレ着てるんだからなあ?」