けだもの系王子
第11章 零斗、チャラ男系?
料理は主に店長とオーナー、スウィーツは幸人さんが振る舞い、いつもの仕事と変わりない様子だけど。
飲み物や食器はセルフで、自分で好きな物を取りに行く。
実家では家族皆がお酒好きで、子供の時から免疫があったから、結構飲める。
未成年だけど内緒で飲んでいいって幸人さんも言ってたし。
「葉月ちゃんが酔っ払ったとこ、見てみたい気がするな?」
スウィーツのガトーショコラを、テーブルの上に置いて、いたずらっぽく笑う幸人さん。
「あたし、強いですから」
こんぐらいで、酔う訳なかろうもん。
……ん?
お料理が美味し過ぎて、お酒がすすむ。
あたしの記憶ではグラス4杯目かな?
……流石にまずいかな?
「トイレに行って来ますね」
風に当たろうと思って、庭園にでる。
お洒落なベンチ、お洒落な噴水、建ってある木は、店内のお客様から、いい風景に見えるように配置されている。
造った物だけど、噴水もあるし、とても綺麗でロマンチック。
都会の空に星は小さいけど、今日の月は綺麗に見える……。
「葉月、お前飲み過ぎだろ?」
月を背中に零斗さんが現れた。
月明かりに照らされて、綺麗な顔立ち。
綺麗な瞳。
「強いから大丈夫です」
「……へぇ?そういうの好きだな?
俺と二人で飲み直す?」
それがどういう意味か、分からない訳じゃない。
ただその時は。
差し出された手にふらりと、自分の手を置いてしまった。
月明かりに照らされて、見とれていた。
彼という存在に、ぞくぞくしながら、見つめあっていたんだ。
自然に距離が縮まり、ゆっくり唇が重なる。
「ハァ」熱い吐息をついて、至近距離で囁かれた。
「家……どこ?」