テキストサイズ

けだもの系王子

第3章 隼人、無口系?







「隼人くん?」





「はい」





礼儀正しくて、真面目で無口な印象。





週末に時々泊まりに来る。





端正な顔立ち。





背も高く、声もいい。





素敵な子だな、もっと話せばいいのに。





密かに思っていたんだ。





切れ長の瞳が心配そうに、揺れている。





その顔に思わず見とれてしまった。





そんなあたしの視線には気付かずに、慌ててタオルを持って来て、あたしの胸元を拭いてくれる。





「冷たいですよね?すいません」





キシリ、ソファーの軋む音。





あたしのすぐ傍で肩膝をついて、まるで身を乗り出すようにして、一生懸命タオルで拭いている。





近い距離。





隼人くんの髪のシャンプーの香りがふわりと鼻をくすぐる。





感じる息づかい。





広い肩幅。





久し振りに異姓を、近くに感じた。





目眩がする。





あたし。





なんかオヤジみたいじゃない?





無駄にときめく心臓。





近い距離にムラムラしている。





ちょっと待てよ?





お酒のせい?









最後にしたのは、いつだっけ?






しかもどうして……。





胸元に水をこぼしちゃったの?






隼人くんの手が、あたしの胸元にあるし、タオルが優しく胸をかするから……。





なんだか、変な気分に……。





「隼人くん、もう、いいから……んんっ……!」





隼人くんの持ってるタオルがあたしの胸の先をかすめた。





思わず洩れてしまう、あたしの甘い声。





胸の先の尖った部分がますます敏感になる。






やだ、恥ずかしいっ。






一瞬、隼人くんの動きが止まる。






驚いたように、綺麗な瞳を見開いて、あたしの顔を見つめる。





なんとなく、見つめ合う。






恥ずかしい、でも……。






お酒のせい?






こんな事、思うなんて、欲求不満?






「やめないで……」





気付いたら、呟いてしまっていた。





ねだるように、誘うように、甘い声を出していた。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ