けだもの系王子
第11章 零斗、チャラ男系?
零斗side
打ち寄せる波をじっと見ていた。
『セフレなんて、本当はいないの……』
葉月が言っていた、言葉を思いだす。
体を重ねて、思った筈だ。
まるで、はじめてのように、慣れてない、反応。
飲んでいたから気付かなかったけど、あれは、演技なんかじゃなく……。
……俺は、馬鹿か?
都合のいい、セフレにしたのは、俺のせいだ。
今まで葉月にしてきた事を思いだす。
「零斗、ここにいたのか?」
不意に背後で声がかかり、振り向けば、幸人が缶ビールを持って、笑っていた。
「……俺は、どうすればいい?」
首を傾げてる幸人に俺は、ぽつりぽつりと話した。
「……どうせ、とっくにそういう関係なんだろうとは、思っていたけど……」
岩山に二人で座って、呆れたように溜め息をついている。
「……鬼畜かっ、お前は……、葉月ちゃんは、面接に来た時に、九州訛りがあって、俺がその時にちょっと、からかってしまったんだよね。ボロがでないように、無理してしゃべって、悪い事したなと思って……」
はあ、また、溜め息をついて、髪をかきあげる幸人が、不意に真面目な目をして、俺を睨む。
「ちゃんと謝って、話をしろよ?」
頷く俺は情けない、顔をしていたらしい。
今までまともに女の子と向き合った事なんか、なかった。
勝手に騒ぐ女の子を、ただ受け入れるのは、簡単だった。
まともに女の子を好きになったのは、一回だけ。
高校の時のクラスメート。
普通の女の子、気付いたら、いつも目で追っていた。
自分から告白したのも、はじめての事で、その子に夢中になっている俺は、回りの変化に気付かなかった。