けだもの系王子
第11章 零斗、チャラ男系?
上靴がない、机がない、体操服がない、俺が気付いた時はすでに手遅れだった。
『さようなら……』
俺に黙って、転校して行った彼女。
俺のせいで、酷いイジメに合い、逃げるようにいなくなった。
守る事が、出来なかった。
そんな俺が……。
まともに恋愛なんか出来るのか?
それからは零斗さんと、なんとなく気まずくて、零斗さんの回りには、常に女の子が固まっていたしで、ゆっくり話せないままだった。
擦れ違ったまま、家に戻る事になった。
アパートに帰り、荷物を片付けて、洗濯したりしていたら、インターホンが鳴った。
ドアを開けると、さっき別れたままの姿で、零斗さんが立っていた。
「よお、ちょっと、泊めて?知らない仲じゃないだろう?」
「いいけど、どうして?」
手荷物を持って、家の中に入って行くけど、どうして?
あたしの視線に気付いた零斗さんが、気まずそうな顔をした。
「女の子が家についてきて、なかなか帰ってくれないんだ」
「はあ?」
首を傾げてしまう。
テーブルの下にある、座布団の上に座る。
「……つまり、抱いてくれなきゃ帰らないと言い出して、断っても帰らないから……」
「家にはあげたんですね?」
「まあ、そうなんだけど、うん」
「……その子とは、セフレなんですか?」
ああ、どうしよう。
イライラして、固い声が出てしまう。
「違うっ……!俺は……!」
「あたしには、そんな事言う資格ないですよね?
……毎日、してくれるんですよね?」
違う、こんな事が言いたい訳じゃないのに。
本当はちゃんと言いたい。
好きですって。
それなのに、どうしてあたし達は、言葉が出ないんだろう。
お互い裸になることばかりで、ちゃんと話が出来ない。
自分で服を脱いでいく。
零斗さんは目を細めて、じっとあたしを見つめていたけど、不意に自分のシャツを脱いだ。