けだもの系王子
第3章 隼人、無口系?
目が覚めたら、あたしは自分の部屋のベッドでちゃんと寝ていた。
「あれ?」
眩しい日射しが、窓の外からカーテンの隙間から洩れている。
あたしのベッドを照らす光に目を細める。
「頭、痛い……」
ずきずき痛む頭を抱える。
「……夢?」
まさかの、夢オチ?
だけど、妙にすっきり、お肌つやつや感がある。
エッチした後の特有の気だるい心地よさがある。
あたしの体が……覚えてる。
隼人くんの確かな体温を。
布団をめくり、自分の体を見おろすと、ブラジャーとパンツのみの姿だった。
昨日着ていたブラウスは部屋の窓のところに、ハンガーにきちんとかけてある。
スカートも同じようにかけてるし。
これは、やっぱり、夢じゃないって事だよね?
隼人くんがやってくれたのかな?
あたしは慌てて服を着て、隣のけいちゃんの部屋に行く。
「けいちゃんっ?」
ドアを開ける。
……誰もいない……。
カレンダーを見てはっと気付く。
週末にバイトの印がしてある。
そうだ飲食店でバイトしてるんだった。
確か隼人くんも同じバイトをしてるんだった。
「そっか……」
なんとなく、がっかりする。
だけど、ちょっと待って。
あたしってば、昨夜は酔った勢いで、弟の友達を襲っちゃったんだよね?
しかも高校3年生。
未成年者。
3つ年下。
犯罪じゃない?
まずいよね?
ああ、頭痛い。
すっかり二日酔いだし、水でも飲もう。
もう昼過ぎだし。
そう思って階段を降りて、リビングを見てギクッとする。
リビングのソファーの上で隼人くんが横になっていた。
あたしと目が合うと、スッと目を反らされる。
ズキン、胸が痛む。
そうよね、当然の反応……。