けだもの系王子
第3章 隼人、無口系?
こんな言い方してしまうあたしも嫌だ。
「なぁ、なぁ、まどか、素直になれよ?
俺ちょっと出掛けるから、ちゃんと話しろよ?」
けいちゃんが上着を羽織りながら、あたし達の間をすりぬけ、ポンと頭を励ますように、軽く叩いて出て行く。
「ちょっと、けいちゃんっ?」
不安になって呼び止めようとしてしまう。
バタンというドアの音。
気まづい沈黙。
「別にあたしは泣きそうな顔はしてないから」
「じゃあ、こっちを見て下さい。
俺から目を反らさないで。
ちゃんと顔が見たいから」
ぎゅっと手を引かれ、隼人くんに近付く。
胸がドキドキして、隼人くんの顔を見上げる。
真っ直ぐな黒い瞳が艶やかにきらめいて見えて。
引力のように引かれ合い、キスをする。
「好きです、まどかさん。
実はずっと前から好きでした。
こないだは舞い上がってしまって……、結局何も言わなかった事に気が付いて……」
言いながらまた、キスをする。
「俺口下手なんで、まどかさんの傍にいると恥ずかしくてどうしたらいいか分からなくなるから……」
あたしは呆然とした思いだった。
あたしの事が好き?
ずっと前から?
「うそっ、だってこないだはほとんどあたしが……」
酔っぱらって襲ったようなもんだし。
「まどかさんに会いたくて、けいを利用したんです。
そうじゃなきゃ、そんなにしょっちゅう男友達の家に泊まりに来ませんよ。
酔っぱらってソファーにうたた寝するのも、けいに聞いてたんで……」
なにそれ、けいちゃんとグルだったってこと?
「けいちゃんは知ってたの?」
「いえ、俺が聞き出しただけです。
あいつのシスコンぶりには驚きました。
結構ヤキモチ焼いてたんですよ?」
「えっ?シスコンかなぁ?」
「普通お姉さんの胸は揉まないでしょう?」
言いながらまた、キスをされる。
今度は激しく舌を絡められ、胸を優しく揉まれる。
「好き……隼人くん……」
唇を離してぎゅっと抱きしめられる。