けだもの系王子
第1章 祐也 、 草食系?
肌は青白い訳ではなく、少し日焼けしていた。
力仕事って外で作業着とかで、工事とかするのかな?
この優しそうな人が?
良く見たら、腕はがっちり筋肉がついている。
苦労してるんだ。
苦学生。
聞いた事ある。
「ちょっと力抜いて下さいね?」
腕を消毒して針を刺すため、血管を探す。
たいして、苦労せずに探り当てて、針を刺す。
「じゃあ、いきますよ?」
一応声をかけると、彼が顔を背けて、ぎゅっと、目を閉じた。
可愛い。
内心くすりと笑ってしまっていた。
それから、近所のスーパーでばったり会った。
家が近所だったから、やはりちゃんと食事をしてないみたいだったから、昨日の残りのおかずをあげたりした。
だんだんほっとけなくなって、弁当を作ってあげたり、家に呼んで晩御飯を作ってあげたりした。
はじめてエッチしたのはあたしの家だった。
あたしは当初セフレのような彼氏がいて別れたばかりだった。
ゆうちゃんが好きになったから、彼氏と別れた。
ゆうちゃんはあたしを大事にしてくれる。
好きだし、好かれてるとも思うのに。
やっぱり、エッチがしたいの……。
「今までお疲れ様でした」
会社の飲み会。
高瀬さんの送別会。
なんとなく隣の席になって、一緒に乾杯する。
「二宮病院って大きな病院ですよね?彼女とか一緒に行くんですか?」
「彼女なんていないよ」
「あれ?高瀬さん狙いの子、結構いたのに、彼女がいるから、フラれたって聞きましたけど?」
「あれはウソだよ。断るのにてっとり早く言っただけ」
「なるほど、イケメンも大変ですね?」
「彩ちゃんだって、彼氏とうまく言ってるの?栄養失調の子?」
「やめてくださいよそのネタ、今はあたしがしっかり体調管理してるから大丈夫です」