けだもの系王子
第4章 慶紀、友達系?
「まぁ、元気だして、まなちゃんがホールに出ると常連さんも喜ぶよ。
制服は着替えた方がいいだろうね?」
ポンと頭の上に手を置いて、慰めてくれる。
女子のウェイトレスの制服……。
渋めな赤のふりふりワンピース、白いふりふりエプロン、ふりふりカチューシャ。
キッチンは白いブラウス、赤いネクタイ、黒いサロン、黒いスカート。
男の子の制服は何故だか皆同じで、黒いズボン。
実はコスプレ好きなお母さんの趣味らしい。
「じゃあ、着替えるので、よろしくです」
頭を下げて、また、女子更衣室に向かった。
「いらっしゃいませ、こんにちは、お二人様でよろしいでしょうか?」
同じ高校の制服の2人組の男の子がお店に入って来た。
見覚えある常連ではある為、営業スマイルで席へと案内する。
「あれっ、今日はウェイトレスなんだ?」
「その制服新鮮だね?」
クラスは違うけど同級生なんで気さくに話かけられる。
席へと案内する為先に歩き、背後に二人がついて来る。
「こちらへどうぞ」
窓際の席に誘導する。
「まなちゃん、りぼんが歪んでるよ?」
エプロンの後ろで結んだりぼんが歪んでるらしく、ちょうどあたしの腰の部分を触られる。
「あれっ?おかしい?」
自分からは見えない。
「直してあげようか?」
ごそごそ、あたしの腰の部分を触れられる。
歪んでるのを直してくれてる。
「なぁ、なぁ、お前ら、何勝手に当店のウェイトレスを触ってんだよ?」
ふいにけいちゃんがあたしを庇うように割り込んで来た。
さりげなくあたしのりぼんを綺麗に結び直してくれる。
「慶紀〜、真面目に働いてんの?」
「たまにはケーキ奢れよ?」
仲良さそうに会話している。
ちゃんと二人に水を持って来てるみたいだし。
えらい、えらい。
「真香はあっちのオーダーとって来いよ?」
偉そうに指図され、ムッとしながら、オーダーを取りに行く。
そういえば、無視するんだった。