けだもの系王子
第5章 結城、優男系?
家に帰って来て風呂から出るとあたしのスマホからラインの着信音が鳴る。
結城からで明日の待ち合わせ場所が書いてあった。
スタンプで了解マークを送ると、
『凄いあっさりしてるね』
あたしは首をかしげた。
友達なんてそんなもんでしょ?
明日の日曜日にまた会う訳だしね。
わりと細かい性格なのかな?
『明日ね?』
おやすみマークのスタンプをとばして、その日は眠りについた。
翌朝、いつも通りに目を覚まして、いつもと同じような服装に着替える。
これはデートではない。
期待しちゃあいけない。
男は皆同じ。
警戒心はもっておいたほうがいい。
いざというときには逃げられるように、動きやすい服装を心掛ける。
荷物をまとめていると、スマホにお母さんからのラインがはいってる事に気付いた。
『たまには家に顔を出してよ?
遠い距離じゃないんだから、和彦さんも会いたがってるわよ?』
和彦さん、お母さんの再婚相手、義理のお父さんだ。
『暇になったらね?』
素っ気ない返事をいれて、一人暮らしの家を出た。
結城の家の裏側が待ち合わせ場所だ。
お菓子の家みたいな可愛い造り。
赤い瓦屋根、薄いピンクの壁、チョコレートみたいなドア。
街中の目立つ場所でもあるし、分かりやすい。
チョコレートみたいなドアの前で結城の姿が目に入った。
手を振りながら近付く。
待ち合わせの時間ぴったりだ。
「おはよう。
二日酔いとかない?」
爽やかな笑顔が眩しい。
「大丈夫だよ?
そんなに飲んでないよね?」
首をかしげた。
「さすがだね?
取り敢えずご飯食べてから映画行く?
家で食べてもいい?
他に行きたいとことかあるかな?」
「結城のとこでいいよ?
ケーキしか食べた事ないし」
何となく結城が先を歩いて店に入った。
店内に入った瞬間、色んな人の視線が一斉にあたしに集まるのを感じた。