テキストサイズ

けだもの系王子

第5章 結城、優男系?







従業員もお客さんも。




席に案内してくれたウェイトレスの女の子はあからさまにジロジロ見てるし。




ジロジロ、っていうかニヤニヤ?





可愛い制服、スタイル良くて美形な子なんだけど。




何となく不愉快で思わず、





「あの、なにか?」





聞いてしまった。





はっとしたように、女の子の肩が震える。





「ごめんなさいっ、あの、あたし、結城の妹の真香って言いますっ、お兄ちゃんがお世話になっていますっ」




「えぇっ?
そうなの?
えと、お世話になります?」





お互い頭を下げ合って。




どうりで美形な筈だ。




スタイルいいし、胸も大きい。




そっか、こんな超絶美人の妹がいるから、結城は見慣れてるのかもしれない。




あたしを変な目で見ないのも、免疫あるからだ。





あたし達が頭を下げ合ってるのを見て、結城が可笑しそうに笑いだした。




「やっぱり。
いいね千尋は。
店に入った瞬間しまったかなと思ったけど、君なら大丈夫だね、負けてないし、気にしなさそうだ。
普通に食事できる?」




「できるけど?」




首をかしげながらメニューを広げる。




「良かった」




にっこり笑い合って。




なごやかに食事した。




確かに回りの視線が気になるけど。




食事が出来ないほどじゃない。







食べ終えてから会計で結城が全部支払いそうになり、慌てて自分の分をだした。




「いいのに、僕が誘ったんだから」




「ダメよっ、お互いバイトしてるんだから、友達は割り勘でしょ?」



ピシャリと言って会計を済ませた。




一瞬寂しそうな顔してたけど、気のせいだよね。




結城はデート馴れしてるんだろう。




歩く時もさりげなくあたしを気にして歩調を合わせてくれるし、さりげなく手を繋ごうとするし。




「迷子にならないから」




ピシャリと言って、危ない危ないと一人でドキドキする。




デートではない。




友達として見たい映画を見に行く。







この映画を見たかったんだ。




二人で映画館に入って、隣に座り、集中して見ていた。




アクションあり、サスペンス要素あり、泣ける場面ありで。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ