テキストサイズ

けだもの系王子

第5章 結城、優男系?







「だめだよっ、そんな格好しちゃあっ、何もはいてないみたいじゃないかっ」




どんどん顔が赤くなり、あたしから顔を背けている。





「ごめんね、急いでたから……」





あたふたニットのセーターをまくりあげる。





「ああ、もうっ」





あたしから目を反らして片手で口を押さえている。





「こんな一人暮らしの家に男をあげて、こんな状況で……警戒心無さすぎだよ……。
僕を試してるの?
何も感じないとでも思ってるの?」




「ごめん、あたし、着替えてくるねっ」





慌てて立ち上がるあたしの腕を引っ張られた。





「えっ?」





反動で結城の体に倒れ込み、強い力で抱きしめられる。




あたしのTシャツのロゴが目に入った。





広い胸板、力強い腕の中で身動き取れない。





結城の濡れた前髪があたしの頬にかかり、唐突に視界が暗くなった。





「んんっ……!」





キスされている……?




理解するのに数秒かかる。





暖かい唇が重ねられ、なめらかな舌が絡められる。





唇の隙間から聞こえる結城の荒い息づかい。





ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、





熱を帯びていく、キスの嵐が降り注ぎ、それと同時に結城の手があたしの服を乱し脱がされていく。




びっくりして固まったまま、結城の顔を見つめる。





「どうしてそんな甘い香りがするの?
この香りが僕をおかしくさせてるんだ……こんなつもりじゃなかったのに……
もっと大事にしたかったのに……」




ポロポロポロ……。




さっき映画を見て泣いたから?





涙腺が緩くなっているのか、あたしの頬にも涙がこぼれ落ちる。




だけど言葉とは裏腹にあたしの胸は結城の熱いキスによって刺激されていて、はじめての感覚にあたしは我しらず甘い声を洩らしている。





「そんな甘い声でそんな顔で見ないでよ。
じゃないと止まらなくなるから……!
こんな、がっつくほうじゃないのに、これじゃあまるで……!」





はぁはぁ、荒い息づかい、ぎゅっと抱きしめられて顔が見えない。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ