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けだもの系王子

第6章 要、優等生系?







大学のキャンパスで友達3人に声をかけられる。





「早希〜?
レポートやってきた〜?」




男の子2人、女の子1人。




学校で良く会う友達だ。




手を振りながら小走りで近付く。




「あんまり出来てないかも……」





正直それどころじゃなかったし。





「しょうがないなぁ?
聖矢は?」





「最近一緒にいないよね?」




ギクリ。




「ちょっと、喧嘩しちゃって……」




ひきつった笑いを浮かべるあたしに、みんながにやにやしている。




「じゃあ、聖ちゃん狙ってもいいかなぁ?」




「早希は俺と付き合うか?」




「レポート、聖矢だったら1発で解決なのにっ」





「なによそれっ、意味分かんないっ」





みんなで笑ってると、前の方から要が歩いてるのが目に入って、スッとすれ違う。




「昼休みに中庭の噴水に来て?」




あたしの耳元でぼそりと囁く。





ドキッと胸が騒ぐ。





何事もなかったように皆と話をするけど。





内心穏やかじゃなかった。







要との同棲生活は上手くいっていると思う。





食事や掃除、大抵な事は一緒にする事が多い。





要は何もしなくていいと言うけど、あたしがやっちゃうから結果的に一緒にやってる感じ。




要はマイペース。




バイトに行くと言って家を出たり、学校昼からと言って昼にフッと出たり。




前もって言わないタイプ。




だけどカレンダーには予定が書いてあったりする。




最近気がついたんだけどね。




あたしに気を使ってタバコをベランダで吸ってると思ったら、もともとベランダで吸ってたみたいだし。





上手くいっていると思うのに……。





不安なのはどうしてだろう……。







今日は弁当を作っていた。





要と一緒に食べようと思って中庭に行く。





噴水の流れる水を背後に要がいた。





きらきらした水飛沫。





太陽の光が反射して要の黒い髪が艶やかに光る。

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