私の心の1番綺麗なところに
第29章 曇り心
「お前は今まで、俺のこと
そんな風に思ってたのか。」
「そうですよ。
日頃の行いのせいでしょう?」
フッ、と、鼻で軽く笑う。
ああ、性格悪いなあ、私。
怒られるか、
もっと泣くと思っていた。
しかし、彼は…
「どうしたら信用してくれる?
このビールのグラス投げて割ろうか?」
と、飲み終えたビールのグラスを
持ち上げた。
意味がわからなかった。
「いや、それしても意味ないでしょ!
むしろお店の人に迷惑かけるだけだし。」
「お前に信用されるためなら
いくらでも割る。」
「だからそれは信用とかじゃなくて迷惑!
私も、お店の人も!」
そう言って、落ち着かせたけど
またすぐに同じことを言って
私がなだめるの繰り返し。
彼はすでにビールとウィスキーを
飲んでいるから、
自分でも何がしたいのか
どうするべきなのか
頭が整理できないのだろう。
何度繰り返したかわからないが
ついに、彼が、グラスを投げた。
ごとん。
鈍い音がした。
ごろごろごろ…
グラスが転がる音。
割れると思ったのに、
割れなかった。
やっぱり酔ったら
グラス投げたりする人いるのかな。
それ用に強いガラスや床を
使ってるのかな、
と、私は冷静に感心した。