
私の心の1番綺麗なところに
第30章 晴れやかなこころ
思わずまたため息を
つきそうになるのをこらえた。
この人はこの私が別れを告げるまでの
10日間、
自分が優位だと思っていた。
私が別れを切り出すなんて
考えてもいなかった。
だから、まさかの形成逆転で、
自分が捨てられる立場になって、
怒っている。拗ねている。
ほんとにコドモ。
そんなところだよ。
嫌いになったのは。
好きじゃなくなったのは。
「別れた方がお互いのために良いと
思ったからだよ。それだけ。」
だらだら話すのがめんどくさかった
私は要約して伝えた。
彼はまた無言で私に背を向けて、
そのまま車に乗った。
「気をつけてね。さよなら。」
最後に、優しいひとことを告げる。
バン、と強めにドアが閉まる音。
彼は何も言わず車を発進させた。
最後までそんな態度で
別れてよかった、と
心から思えた。
