テキストサイズ

ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

電車をいくつか乗りかえて、繁華街へと足を踏み入れた夜の18時。



昼から夜へと顔を変えていくこの時間帯には、お店のあちこちからネオンの光が瞬くの。





「えっと、この道沿いだったっけ」




こんなところをひとりで歩くのは、もちろん初めて。

でも、この辺りに悠さんの勤めるお店があるっていうことだから、ちょっとドキドキ恐いけど冒険してるの。






「…どのお店も、みんな飲み屋さんみたい。
悠さんのお店もこの並びにあるよね」




あれから2日後。

悠さんからお許しをもらった私は、さっそく悠さんから聞いた住所へと赴いたの。



お仕事の邪魔するわけにはいかないから、連れて行ってもらうわけにはいかないもんね。

だから、こうやって電車と足を使って、やってきたのだ。







「えっと、悠さんのお店の名前は……」




私が不安にならないように、お店の人には私の事をあらかじめ言っておいてくれるみたいなの。

さすが悠さん、気が利くよね!









「……………あった。
s…h……
…n。うん、間違いない」




キラキラと、外の暗さとは真反対な明るさが目立つネオンの文字。

予想通りおしゃれな外観と、悠さんから聞いていたお店の名前を確認すると、私は安心して入り口へと向かったの。



だってここに来れば、お仕事中の悠さんと会えるんだもん!





ストーリーメニュー

TOPTOPへ