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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

「いらっしゃいませ、ようこそshionへ!」




「わぁっ」




洋風のお城のような重い扉を開けると、中から何人かの男性にそう声をかけられた。





「お客様、当店は初めてですか?
まずは会員登録をお願いしていますので、身分証を出していただきます」



「えっと、えっと……っ」




キッチリとスーツを着こなした若い男性スタッフさんに案内されると、何だかイキナリ複雑な話になってきた。

バーなのに、会員登録?
身分証明とか必要なの?

私は、ちょっとお店を見に来ただけのお客さんなのにっ





「ここでは、お酒を主に提供しているので、その為の身分証の確認なのです。
どうか、ご理解下さいね」




…あぁ、そっか。

私ってば、年齢以上に童顔だもんね。
だから、未成年に見られちゃったのかもしれないなぁ。


とほほ…。




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