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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

結局、お店には3時間もいたんだけど、悠さんは現れなかった。

あんまり長くいると、帰りも遅くなっちゃうから、今日は諦めなきゃだよね。





「姫様、今日もありがとうございました。
良かったら、最寄りの駅まで送って行きますよ」




「ありがとう。
でも大丈夫だよ」




「…そうですか。
では、またのご来店、お待ちしています!」








お会計を済ませると、私は煌さんに見送られながらお店を出た。




外は真っ暗なんだけど、ネオンの明かりがキラキラ瞬いて眩しいくらい。


繁華街は賑やかで、夜の時間はまだまだこれからって感じだね。







(…それにしても、この辺りのお店って、飲み屋だとかホテルが多いなぁ)




田舎者の私には慣れてないせいか、ちょっぴりこわい印象の街。

勧誘とかしてるお店もあるし、変な声がかかる前に早く駅に向かおう。




そう思いながら半ば駆け足になって繁華街を抜けていると、ふと見覚えのある人影が視界に入った。




街灯もない細い裏道の先にあるのは、駐車場のよう。

その先に、女性の腰に手をあてエスコートをしてるような様子の男性がいたのだ。






あれは…あれは…、もしかして……?








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