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ふたり、溺愛中

第9章 紫のスーツの彼は

ドキン… ドキン…


急に、心臓が大きく鳴り響いてきた。



胸の辺りがモヤモヤして、嫌な気持ち。






(あの背の高さ。あの髪型。
何だか、よく、似てるようだけど…)





暗くて色まではよく見えないんだけど、でもあの男性のスーツ姿。


見間違いだと思うんだけど、でもよく似ていて目が離せないの。







(______悠さん…っ!)







今はまだお仕事中の時間だもん。
こんなところで、誰かと会ってるハズなんてあり得ないよぉ!



…なんて思いつつも、見過ごして帰る事ができないの。







(…………………っ
……………っ)






音を立てないように、ゆっくりゆっくり、ふたりの方へと足を近づける。




人の話を盗み聞きなんて、お行儀が悪いんだけど。

でも、でも違うって確認したいから。





あの人は悠さんじゃないって、確信したいからっ!









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