ふたり、溺愛中
第10章 思いきり、愛してあげるの!
「行ってらっしゃい。
頑張ってね」
「うん、ありがとう。
じゃあ、戸締まりしっかりね」
お昼になる前。
コーヒーを一杯飲んだ悠さんは、身支度を整えると家を出た。
お仕事に行くのに、ご飯食べなくて大丈夫なのかなぁっていつも思うんだけどなぁ。
でもコーヒー一杯だけで出かける人も普通にいるから、そんなもんなのかなぁ。
「…いいお天気」
洗濯の終わったシーツは干したし、後はお部屋のお掃除でもしようかなぁ。
悠さんに付き合って私も朝がコーヒーだけになってるから、小腹がすいちゃった。
「…たまには、ひとりでお出かけしてみようかなぁ」
悠さんのお店は夜からの営業だから、まだ行っても開いてないけれど。
でもあの辺りの繁華街に行く途中の駅には、おしゃれなファッションビルだってあるの。
行き方は知ってるし、時間もたっぷりあるんだもん。
ウインドウショッピングでもして、何か良いものがあったら悠さんにプレゼントしてもいいよね。
「…よぉし」
私はお出かけ用のバッグを取り出すと、ひとりで玄関を出たの。
…まさかもう一度、不安感を誘うものを見てしまうとも、知らずに。