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ふたり、溺愛中

第12章 その婚姻届は、間違いだよね?

ふたりを照らすように、ヘッドライトの光と共にまた新たに車が駐車場へと入ってきた。


ここは繁華街だもの。車の出入りは多い駐車場なんだと思う。




「ほらほら、こんなところで動かないでいると、変な目で見られちゃうよ」


「あんっ
もぉ待って、紫苑ったらぁ!」




ちょうど来た別の車のおかげで、とりあえず場を凌いだような雰囲気だけれども。

こっちに向かって来るふたりに見つからないように、私は急いで後ずさった。


こんなとこを盗み見てたら、睨まれちゃうよぉ。






(_____________えっ)



ソロリ ソロリ

ゆっくり足音を立てないように大通りへと逃げていると、次にまた駐車場に入ってきた車が辺りを照らした。

その時に見えたふたりの…ううん、むしろ男性の顔が………




(ゆ 悠さんっ)




「もぉ待って、紫苑ったら!
後で絶対サインしてよね」




何とか見つからないよう大通りまで出ると、先にお店の方へと向かうふたりの背中を見送った。


腕を組み、親密そうに並んで歩く姿を見て、ガクガクと身体が震えてきた。






「悠さん…どうして?
あの女の人と、結婚しちゃうの?」



ソックリさんでも、見間違いでもない。


突き付けられた婚姻届を手に持っているのは、確かに私の旦那さま、悠さんだった。







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