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ふたり、溺愛中

第12章 その婚姻届は、間違いだよね?

…何だか、ジンと胸が熱くなってきた。



「このホストクラブshionでは、"美味しく、楽しく、気持ちのいい時間を過ごしてもらう"ってのが、オーナーのモットーなんです」



どこかの席で、また何か高級なお酒の注文が入ったみたいで、ホストさんたちによるパフォーマンスが行われた。


ホストクラブはゆっくりお酒を楽しむとか、そういうのとはまた違うようだけどね。
でも注文したお客さんは、楽しんでいるんだ。


悠さんも、そうやってここまで登り詰めたんだろうなぁ。




「おれ、まだ誰からも指名とかもらえてなくて、姫さまに指名されたのが初めてだったんです」


「えっ、そうだったの?」



確かあの時は、指名ホストを登録しなきゃならなくて。

でも悠さんは選択できないって言われたから、それでたまたま目の前にいた煌さんを指名しただけだったんだけどね。




「だからすごく嬉しかったし、頑張らないとって思いました。
昼も無理言って付き合ってくれたし、本当に感謝してます。ありがとうございました」



「そんなぁ、私は別に…っ」



「おれ、まだまだホストっぽくないかもですが、オーナーみたくなれるよう、頑張りますね」




…ホストさんのお仕事に驚く事ばかりで、ちょっと付いていけないとこもあったけど、この業界はこの業界で、やっぱり真剣なんだね。


改めて、そんな悠さんには見直しちゃった。

頑張ってるんだね、悠さん。

それに、頑張れ、煌さん。








確かにホストさんをやってる悠さんの苦労や頑張りは理解できてきたよ。



…でもあの婚姻届さえ見なければ、何も不安は残らなかったのにな…………。












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