ふたり、溺愛中
第1章 お見合い結婚、しました
「え、すぐにでも結婚したい?」
その2日後。
母からの電話で、私は驚愕した。
『小鳥遊さん、よっぽど優の事が気に入ったのねぇ。
あんたみたいな娘には、こんな美味しい話…じゃない、素敵な巡り合わせは一生ないわよ!
早く決めちゃいなさい!』
自分の娘の扱いが随分ヒドイ事は敢えて突っ込まないとして。
確かに、テキトーに短大卒業して、テキトーな二流企業の受付嬢やってるだけの恋愛に疎遠で田舎臭く、童顔な私には、小鳥遊さんみたいな人との結婚なんて一生ない素敵な巡り合わせだろう。
だけど、だからこそ逆に思う事が1つあるの。
『小鳥遊さん、あの若さで年商3億稼いでる社長さんなんだから、経済面でも非の打ち所がないわ。
優、これはあんたの為を思って言ってるのよ!』
容姿も経済力も申し分ない、そんな人が…どうしてお見合いなんかして、どうして私みたいな地味で童顔な女を選んでくれたんだろう。
『じゃあ、仲人さんには喜んで!って返事しとくわよ!
いいわね!!』
「あ、え、ちょっ」
『よかったわ。これでお母さん一安心よ!』
「待って、お母さ……」
プー、プー、プー
もう電話は切れていた。
すごく強引な話みたいだけど、そんなわけで私、あっという間にお見合い結婚する事になりました…っ。