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暗闇の中の一等星

第4章 暗闇の中の一等星―真治の過去―

 そんなことが続いたある日、見知らぬ番号からの電話。真治は電話を出ないのに、なんどもかかってくることに不思議に思う。真治は嫌な予感がした。その予感は的中する。

「はい、もしもし」

「美咲の母です」

 痺れを切らし、電話を取った真治。電話口に居たのは美咲の親で真治は驚く。

「どうしたんですか?」

「突然ごめんなさいね。美咲から真治さんの話はよく聞いていたから。真治さんには話さなきゃって思ったのよ」

 真治はこの時ばかりは黙って聞いていた。

「……美咲ね本当に真治さんのこと大好きだったの。だけどどうしたらいいのか分からなかったみたい。でも私は真治さんのこと責めたりしないわ」

 電話越しに嗚咽まじりに話す美咲の母に、真治は困惑する。

「なんの話ですか……?」

「……美咲ね、亡くなったの。家に帰ってきたらね」

「嘘だ!」

 美咲の母が話し終わるより先に真治は口を挟んだ。頭が真っ白になって、信じたくなかった。嘘だうそだウソだ……ウソ……。

「嘘じゃないのよ。真治さん。嘘でこんなこと言うほど、こんな連絡するほど、おばさんいじわるじゃないわ」

「そんなことあるわけない。あるわけないんだ!」

 真治はまるで聞く耳を持たない。

「詳しいことはまた今度話すわね。今、話聞けそうな感じと違うみたいなので。明日がお通夜で明後日がお葬式やからね。葬儀場でやるから来て下さいね」

 真治は言葉を返さなかった。

「じゃあ、またね。待ってますね」

 しかし、お通夜も葬式も真治には行けなかった。

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