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暗闇の中の一等星

第4章 暗闇の中の一等星―真治の過去―

 真治はその手紙を読んで涙した。そして、ゆっくりと日記帳を開く。日記帳の最初は、出会った頃のこと、デートをしたこと、真治といて幸せだという内容だ。

 だが、途中からは、

「疲れた。でも、真治といたい。どうしたらいいのか分からない。苦しい。辛い」

 などの内容で字も荒れている。最後のページには、

「もう生きることに疲れた。別れたいけど、それでも好きで離れられない。だから永遠にさよなら。弱い私でごめん、ありがとう、大好きだよ。来世では、もっと強い私で生まれてきたいな。愛していたよ。私がいなくても真治は幸せになってね」

 それを最後に後は真っ白なページが続くのみ。



 そんな、美咲との悲しい思い出で真治は恋に臆病になって、俺のせいだと自分を責めて生きてきた。

 美咲が亡くなってからの真治の趣味は天体観測だ。

「空の星のひとつひとつは亡くなった人の魂なんだよ。だから私がいなくなったらね、空から真治のこと見てるからさ」

 冗談みたいに美咲は笑いながら言った。それが日記帳を読んだときに真治の頭によぎった。

 星を見ているときの真治は心が癒された。まるで美咲に見守られているような、すぐ傍にいてくれているような気がして。

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