テキストサイズ

暗闇の中の一等星

第4章 暗闇の中の一等星―真治の過去―

 次の年の冬――。

 真治は前年と同じように田舎へ行く。ただ一つ違うのは少女と約束した流れ星の写真を撮らないといけないということ。

 だが、前年観測できた流れ星が見れることはなかった。
 真治は仕方なくマンションに帰る。

「何してるんだ!?」

 マンションに帰った真治の目に写ったのは、身を乗り出す紗希の姿。

「これ」

 真治が去年あげた写真を紗希は表向きで差し出す。そこには“ありがとう”と手書きで書いている。

「どういうことだ?」

「もう、生きてることに疲れた」

 紗希は聞こえるか聞こえないかくらいの声で言う。その言葉で真治は、美咲の日記帳を思い浮かべた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ