暗闇の中の一等星
第4章 暗闇の中の一等星―真治の過去―
「親が悲しむよ」
そんな偽善ぶった一言から真治は紗希の母親の話を聞くこととなる。
話を聞き、紗希のことを守ってやりたい。と思うと同時に、美咲のことが溢れ、自分には無理なんかじゃないかという不安も感じた。真治は、気づいたら紗希に美咲のことを打ち明けていた。
真治の話を聞いた紗希もまた同様にこの人を守ってあげたい。愛してあげたい。そう思ったのだ。
「貴方のだけのせいじゃないわ。何も告げなかった彼女さんも悪いじゃない。自分を責めて生きたって仕方ないわ。彼女さんは、貴方に笑っていて欲しいと想ってるはずよ」
紗希のその言葉に真治は、はっとした。
「過去は変えられない。でも未来は変えられる。大切なのは同じことを繰り返さないこと。私たちって似たもの同士ね」
そう言葉を紡ぐ紗希を見て、真治は何年か振りに心から笑う。人を愛おしい。それは幸せなこと何だと実感することが出来た。
「君とならもう一度やり直せそうな気がする。あの時とは違う俺で」
「私も共通点を持ち、似た貴方とならうまくできそうな気がする。今度こそきっと」
「二人で乗り越えような。よろしく」
「こちらこそよろしくね」
「おう!」
「幸せは二倍、悲しみは半分……そうやって支えあって生きていこう」
「そうだな。今度は後悔しないように、同じ過ちを繰り返さないように」
真治は、久しぶりに本音を話し感情を出した。聞いてもらうことが幸せだと何年かぶりに思っていた。
「来年は一緒に星を見に連れてってね」
「もちろん!」
二人の涙はいつの間にか笑顔に変わっている。真治と紗希は連絡先を交換して、またねをした。
それから、真治と紗希はお互いを支えあって共に生きた。