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暗闇の中の一等星

第2章 生きてこそ―似たもの同士な二人―

 一昨年の冬――。


 俺は天体望遠鏡とカメラを持ち田舎へ向かう。


 約、四時間程すると田舎に着く。すでに夜。早速、天体望遠鏡をセットして写真を撮る。


 夢中になっているとすぐに夜が明けた。夜が明けたと同時に俺は片付けをし、都内のマンションに戻る。




 マンションに戻ると十階に少女がいて声をかけた。


「どうしたの?」


「流れ星……見たかったの。でもこんな薄汚れた場所じゃ見えるわけないよね」


 少女は寂しそうに俯き去って行こうとする。


「待って!」


 俺は大声で少女を呼ぶ。少女は振り返った。俺は続けて言う。


「来年の今日、ここで待ってて。流れ星の写真、持って帰って来るから」


 俺はそう言うと一枚の星の写真を渡した。少女はにっこり笑って去って行く。

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