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暗闇の中の一等星

第2章 生きてこそ―似たもの同士な二人―

「でも、それは君のせいじゃない」


「私のせいなの。亡くなる前の日にプチ家出して迷惑かけた」


「それでどうしたんだ?」


 聞いていいのか戸惑いつつも問いかける。


「仲直りしたよ。一緒にお風呂に入って行ってらっしゃいって言って」


「なら、どうして殺したになるんだ?」


「帰宅したらお母さんはうつ伏せで寝転んでた。寝てるんだって思って違う部屋でテレビを見てた。それでふと机の上のものが目に入った」


 俺はただ聞いて頷くしか出来なかった。


「それは、薬の大量の飲んだ後のケース。慌ててお母さんの寝てる部屋に行った。顔色は悪くて救急車を呼んだけど遅かった。間に合わなかった」


「そうか。ごめんな、たいしたこと何も言えなくて」


「ううん、いいの。その後は警察が来て、お父さんが帰ってきて色々聞かれた。一生忘れられない記憶」


 少女の目からとめどなく溢れる涙。俺は思わず抱きしめてしまった。


「君のせいじゃない。君は殺してなんかない。そんなにも思ってる。君が死ぬことなんて誰も望んでない」


 俺は力を入れて言う。


「それだけじゃない。私が好きになった人はみんな離れてく。みんな私を嫌いになる。人を愛することが怖い。でも愛されたい矛盾」


 少女の心からは悲痛な叫び。


「俺が君を愛するよ」


 ぽっと出た言葉。


「えっ!?」


 少女の体はビクンと跳ねた。

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