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暗闇の中の一等星

第2章 生きてこそ―似たもの同士な二人―

「それは、貴方だけのせいじゃないわ。何も告げなかった彼女さんも悪いじゃない。自分を責めて生きたって仕方ないわ。彼女さんは、貴方に笑っていて欲しいと想ってるはずよ」


 さっきとは違う少女の見せる大人っぽさ。俺はそれにドキッとした。


「そうかな?」

「過去は変えられない。でも未来は変えられる。大切なのは同じことを繰り返さないこと。私たちって似たもの同士ね」
 
少女はそう言うとクスッと笑った。


「そうだな」


 俺もつられて笑う。


「君とならもう一度やり直せそうな気がする。あの時とは違う俺で」


「私も共通点を持ち、似た貴方とならうまくやれそうな気がする。今度こそきっと」


「二人で乗り越えような。俺の名前は中田真治(ナカタ マサハル)。よろしく」


「私の名前は川西紗希(カワニシ サキ)。こちらこそよろしくね」


 俺たちは今更な挨拶を交わした。


「おぅ!」


「幸せは二倍、悲しみは半分……そうやって支えあって生きていこう」


「そうだな。今度は後悔しないように、同じ過ちを繰り返さないように」


 久しぶりに本音を話し感情を出した。聞いてもらえることがこんなにも幸せだと何年ぶりかに思えた。


「来年は一緒に星を見に連れてってね」


「もちろん!」


 二人の涙はいつの間にか笑顔に変わっている。俺と紗希は連絡先を交換して、またねをした。

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