
好きになったらダメだよ
第6章 最低同士だからいいんじゃない?
「嘘!?じゃあ川田と付き合ったわけ!?」
川田のところだけは、声のトーンを落として、口元を新聞で隠しながら橘が言う。
さすがに職員室で堂々と大声で伊都の名前を出せるわけがない。
「付き合うわけないでしょ。伊都とも元の関係に戻った。先生と生徒。」
「あらまー。また潔いねー。」
橘は新聞を四つ折りに畳み、先週と同じようにリーディングの教科書と名簿を持って立ち上がる。
「1時間目は川田のクラスか……。あいつ機嫌悪そうだなあ。」
「……。」
機嫌……伊都が損ねるのだろうか?
刈谷さんとか他にも女の子たくさんいるんだし……
「あー!!」
もう嫌!!自分で選んだ道なのに、なんでこんなに落ち込んでいるんだろう。
強くならなきゃ。ちゃんと大人にならなきゃ。
