私と彼の関係
第2章 はじまり
なんだ。深見くんも所詮他の人と一緒じゃん。
私の気持ち当てまくってくるから焦ったけど。
あのままいってたら自分の内側に閉じ込めた思いとか悩みとか曝け出しまくってたかもしれない。
あー危なかった。
たくさん話したのがつい昨日で信用できるかもわからない男に話してしまうところだった。
「…さっきから黙ってるけど聞いてるのか?」
声からも伝わってくる、不満さが。
どうせ不満そうな顔をしているのだろう。
私は足を止めてからずっと斜め下に向けていた視線を深見くんに向けた。
「聞いてる。深見くんいっぱい話したから私からも言わせてもらうけどさ」
そう言って私は深見くんが嫌いと言った❝あの❞笑顔で
「誰の立場で言ってるの?」
と付け足した。
「ッ…」
深見くん、さっきからずっと真顔だったし、表情に感情が出にくい人なんだけど、私の言った言葉で一瞬僅かに表情が強張った気がした。
「言いたい放題に言ってくれてたけど、そもそも深見くんに関係ないよね?彼氏でもないしさ。
それともなってくれるの?
まぁなってくれたとしても私はこれっぽっちも愛さないし、ただHするだけの人っていう認識で付き合うけどね。
昨日言ってくれたみたいにヤる以外の男の利用価値教えてくれるならそれはそれでいいし、そのために深見くんがHしないって言うならそれはそれでいいんだけど、深見くんと一緒にいない時間は私の時間だよね?
だから私がHしたいなって思ったら男の人とHするし、援交したいなって思ったらする。
Hしたくなったら俺を呼べって言うなら別だけど。
あ、でもあれだよ?呼んで深見くんがきてもHしないなら他の男の人のところ行くし、二度と呼ばないから。」
「…」
深見くんは黙ったまま。
「あと私、愛が欲しくて援交してるわけじゃないし、もし私が愛を求めて援交するとしたら、迷わず本物の愛より偽物の愛を求めると思うよ。」
「なんで?」
「替えがきくから。偽物の愛が1つ無くなったとしたらまた偽物の愛で埋めればいい」
私がそう答えると深見くんはフンッと馬鹿にしたように
「それじゃずっと幸せにはなれないだろうな」
と言った。
「それがいいの。私幸せになんてなりたくないから」
さっきまで明るく軽い調子で話していたが、真剣な顔で私は言った。