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ぜんぶ二人ではじめて

第44章 告白と変化

side 七海

ヤスくん、ありがとう。

ヤスくんと別れて、スッキリした反面、心にぽっかり穴が開いたような…寂しい…のかな。

ボーっとしながら彩月ちゃんの病室へと足を運んだ。

「七海ちゃん!」

満面の笑みで迎えてくれる。隣には昌樹くんもいる。2人で紅茶を飲んでる。良い香りが漂う。

「彩月ちゃん…」

「毎日ありがとう!…どうしたの?元気ないね。」

「うん…。ヤスくんと別れたの。」

それだけ言った。

「………そっか。寂しいね。」

彩月ちゃんが一言そう言った。

「うん…。でも…大丈夫!」

スッキリしたのも事実。

「なんかスッキリした感じだね。ここんとこ七海ちゃん、モヤモヤしてたもんね。で?七海ちゃんは待っててくれてる人の所へいくの?」

彩月ちゃんには細かいことまで全部話してある。

「うん。」

「そっかぁ。それはそれで、良いね!」

「うん!」

「で?そろそろ、その待っててくれてる人が誰か教えてくれても良いんじゃない?」

そこはまだ言ってない。

「…うん…。2人もよく知ってる人なんだけど…今、来てるの。会う?」

竜一くんは、親衛隊のみんなと彩月ちゃんの病室の目の前にあるデイルームで待ってる。

「うん!大体察しはついてるけどね。」

と、彩月ちゃん。

「親衛隊の誰かだよね!」

と、昌樹くん。

「じゃあ、呼んでくるね。」

一旦、席を立った。

「竜一くんだろ?」

「そうだね。私もそう思う。」

2人の会話に耳を傾けながら、部屋を出て、

「…竜一くん…。ちょっと良い?」

声をかけた。

「ん?どうした?」

「彩月ちゃんと昌樹くんには話してたんだけどね?待っててくれてる人がいるって。誰かは言ってなかったの。で、2人が会いたいって…。」

少し恥ずかしくて、もじもじしながら伝えた。

そしたら、竜一くん、

「まだ正式に付き合ってないじゃん。」

なんて言う。

「あ…うん…。えっと……」

どうしよ…恥ずかしいよぉ。

「あとでじゃ、ダメ?」

そう言った。

「…上目遣い…可愛い、市川。竜、市川、困らせんなよ。」

「いや、もっと困らせたらめっちゃ可愛いかも!」

親衛隊がやんややんやと騒ぎ始めた。

「もぉ…みんな、からかわないでよ。」

恥ずかしくて顔が赤くなるのが分かる。

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