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ぜんぶ二人ではじめて

第44章 告白と変化

「よしっ!市川、これ、歌って?!」

竜一くんが私に歌ってほしい曲をたくさん入れる。

「うん。」

最初は、しっとりバラード……

「うまっ!」

歌いあげる。

「市川……やっぱ、歌、ウマイ!」

パチパチ……

称賛されて、嬉しくなる。

「次、これね?」

アップテンポの明るい曲。

人生を楽しもうよ。一人で悩んでもつまらない。信じていればきっと、大丈夫!君がいれば、大丈夫!愛があれば、二人でいれば、前を向けば、大丈夫!

私、この曲、好き。

「市川、何でもイケるね!」

パチパチ……

竜一くんが楽しそうに嬉しそうにしてる。

それを見て、もっと明るい気持ちになる。

竜一くんが選んでくれる曲は励ましてくれる。

何曲歌ったんだろう?

10曲くらい歌ったかな?

「市川、歌手になれば良いのに。あ!でも、独り占めできなくなるからそれはダメだ。」

竜一くんがテンション高くなっていくのが伝わる。私も楽しい。

「市川、これ、振り付けありで歌える?」

「え?振り付け?」

「そう。」

見ると、知ってる曲だった。振り付けも……分かるけど……

「恥ずかしいよ。」

でも、好き、この曲。

「良いじゃん!俺しか見てないよ。」

「曲、始まったよ。」

ポンッと、背中を押され、画面の近くに立つ。

竜一くんが見てるから恥ずかしいんだけど…でも…

「あっ…もぉ…」

確かに竜一くんしか見てないもんね!

曲が始まれば、ノリノリになる。

これ最後、投げキスあるよね!

うわぁ…どうしよー。

クルッとターン。

なんで顔赤いの?

指をピストルみたいにして、バンッ!てしたら、もっと顔が赤くなる。

あー…次、、、

投げキス!

チュ……

半ばやけくそで歌い終えた。

椅子にまた座る……

竜一くんの顔を見る……

何も言ってくれない。

「竜一くん?」

呼びかけてみる。

「あっ!ごめん!見とれてた。かわいくて……」

なんて答えが返ってきて、

「もぉ……恥ずかしいよぉ。竜一くんも歌ってよ。」

そう言ったら、

「分かった。……俺の気持ち……」

そう言って、竜一くんが、歌った。

切ない……片想いの曲。

困った時はいつでも言って。キミの笑顔を守るためならボクは何だってする。

竜一くんが見つめて歌う。

告白されてるみたいで、照れる……

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