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ぜんぶ二人ではじめて

第44章 告白と変化

竜一くんが歌い終えた。

「竜一くん、上手。」

「ありがと。」

そう言って、私の隣に座る。

ドキドキ……

何で!何でドキドキするの?

「俺の気持ちね?!あと3曲入れたから。聴いて?」

と、言った。

「うん。」

君に出会えたのはきっと運命。叶わない恋だと分かっていても諦めるなんて出来ないよ。手には入らないものだと分かっていても君のことが好きなんだ。君を傷つける奴はゆるさない。君の鼓動を乱したい。好きだよ。出会わせてくれてありがとう。どんなときでも愛してる。

そんな歌詞にまた、ドキドキする。

「竜一くん……」

ドキドキする。

次の曲が始まる。

切ないバラード……

君の笑顔が見たいんだ。君には笑っててほしいんだ。もしも君が悲しい時はいつでも胸を貸すよ。頼ってよ。もしも君が泣きたい時はいつでも胸を貸すよ。好きだよ。もしも君が楽しいのなら一緒にたくさん笑おうよ。愛してるよ。

ポロっ…

涙が……

止まらない……

竜一くんが私の頭を撫でる。

ドキドキも止まらない……

最後の曲が始まる。

君を想う。ただ想う。それだけで幸せなんだ。君が誰かとキスをしても、君が誰かと愛し合っても、ボクは君が幸せならそれで良い。ただのお人好しだから。君を困らせるのも、君を泣かせることも、それは誰であろうと赦さない。愛してるんだ。いつかいつの日か君にボクの想いが欠片でも届くことがあったら、これ以上の幸せはないよ。

ポロポロ……

涙が止まらない……

竜一くんが私の頬に伝う涙を掌で拭った。

ドキドキしながらポロポロ……涙が……零れる。

歌い終えて、竜一くんが、私を見つめる。

「市川…いや……七海…。」

ドキンッ!

ドキドキドキドキ…

名前で呼んでくれた!

「竜くん…」

みんなが呼んでる呼び方だけど、私も呼び方を変えてみた。

それがなんだか懐かしくて…

心の中にほんわかした時間が蘇る。

なんだろう…不思議な感じ。

見つめ合う…絡んだ瞳が金縛りにする。

私、キスしたい…

プルッ!プルルルル!

びくっ!

いきなりけたたましく部屋の電話が鳴り響く。

「はい?はい。大丈夫です。はい。」

ガチャ…

電話を切って竜くんが、

「…10分前だって。」

「う、ん。帰る支度しよっか?!」

「…うん。」

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