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ぜんぶ二人ではじめて

第44章 告白と変化

カラオケを出て、間も無く、

「七海…時間、まだ平気?」

竜くんが聞く。

「うん。まだ平気だよ。今夜は家に1人だから。」

そう言った。

「親、帰ってこないの?」

「そうなの。母さんは研修で、父さんは学会。そのまま明日はじぃじのクリニックに行くから、父さんとちゃんと会うのは明後日かな。母さんも研修のあと保育参観があるから、そのままじぃじの家にまた泊まるって……そんなことが言いたいんじゃないんだけど…」

「どうした?ゆっくり話なよ。」

「うん。」

でも、なかなか言えない。私の家に来てって。

「俺から話してもいい?」

「うん。」

「まだ、一緒にいたい。七海の家に行っても良い?」

「うん!」

抱きつきたい。

手、繋ぎたい。

キス…したい。

竜くん…

バスに乗って、私の家のそばのバス停で降りた。

春の新緑が眩しい。

てくてく…会話はなくても隣に並んで歩いてるだけで幸せ。

「七海…」

「ん?」

恥ずかしそうに、スッと手を出した、竜くん。

「あっ…」

キュッ…

しっかり握る。

「嬉しい!」

そう言って竜くんを見つめる。

「うん。」

思いっきり照れてるのが分かる。

ちょっとだけ、可愛いと思った。

「竜くん、自転車、いつ直るの?」

「明日だって。」

「取りに行く時私も一緒に行っても良い?」

「良いけど、部活のあとだからあんまりゆっくりできないよ?」

「うん。いいの。…少しでも良いから、一緒にいたいの。」

竜くんに伝えていく。私の想い。

「七海…すげぇ嬉しい!バスで行って、帰りは2ケツで良い?」

「うんっ!」

「さっき、ご両親に会うの、明後日って言ってた?」

「うん。そうだよ。」

「そっか。じゃあ、今日と明日は誰もいないんだ?」

「うん。」

「…七海、一人にするの心配なんだけど…」

「ありがとう。…じゃあ…そばに…いて?」

「……泊まって…良い…の?」

「…うん…」

「分かった。」

ドッドッドッドッ…

心臓の音が速くなる。

会話がなくなると、緊張する。

俯いて歩く。

「やばい…すっげぇ緊張する。」

「わ、私も!」

「そっか。七海も緊張してるんだね。一緒か。良かった。」

そう言って笑うから、少し安心した。

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