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薔薇寮の淫

第3章 そこにある理由

・北山side

静まりかえった部屋の中へ入ると。

くっ、トッツー。

ベットの上で、うつ伏せのまま意識を失っているその姿があり。

こんなにいっぱい泣いてよ涙で顔がぐしゃぐしゃじゃん。

バカやろ、なんで受け入れたりしてしまったんで。

俺には分からないわ、クッ!

身体の上に掛かっている、白い掛け布団の隙間から。

見える肌には、赤い陵辱の痕が見え隠れしている。

今はとにかく身体を休めろ

俺はただボーッとしながら時が過ぎていく空間に身を置いていた。

暗くなっても電気をつけることもせずに。

すると―



戸「北山」



その暗がりの中で目を覚ましたトッツーが声を掛けて来てよ。



戸「そこにいるんだろ?」

北「あぁ」

戸「全部、知ってるんだよね?」

北「くっ」



そして、背中を向けたままトッツーの言葉は続いてく



戸「あの2人を嫌いにならないで」

北「はっ?んなに言ってるんだ、お前は」

戸「俺は好きだから」

北「なっ、やられちまったのにか」

戸「そりゃ最初はショックだったよ」

北「当たり前だわ」

戸「自分が自分でなくなるっていうの、どんどん押し流されちゃって堕ちるってさ、きっとこういうことを言うんだなって」



トッツー



戸「朝、目を覚ましたら、これからどうしていいのか分からなくなっちゃって。あぁ、もう普通じゃないんだってそう思ったら」

北「それで泣いてたのか」

戸「うん」

北「悪い俺お前に何もしてやれなくて、昨日の夜だって助けてやれなかったし」

戸「気にしなくていいよ、抵抗しようと思ったら出来たんだから」

北「えっ」

戸「河合は、俺を力ずくで抑えつけたりなんかしていなかったんだ」



そうなのか?俺はてっきり無理矢理やられてしまってるんだと。





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