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薔薇寮の淫

第3章 そこにある理由

・北山side

戸「なんだろ俺も好きになっちゃってたのかな?」

北「‥‥っ」

戸「触れられた瞬間、口に出している言葉とは逆に、身体は動かなくて気がつけば気持ちよくなっちゃっててさ」

北「今は後悔していない、そう言いたいんだ?」

戸「まだ分からない、けど後悔したってしょうがないじゃん事実は消えないんだし」

北「確かに、んだが」

戸「なに?」

北「河合の事は分かった、けど五関にまで抱かれたのはどうしてで?合意のもとってあいつは言ってたが」



その理由が知りたい、俺はそう思う。

だがトッツーは。



戸「今は、まだ言えない」

北「なんで?」

戸「それを話すってことは五関の心の傷を晒け出す事にも繋がるから」



あいつの傷?



戸「ただね、五関は本当に優しく俺の気持ちを尊重し決して無理強いはしなかったんだ」

北「つまりは自分の意志で抱かれた、そう言いたいんだな?」

戸「そうだよ、こんな俺のこと嫌いになった?フッ」

北「ならねぇけどさ」

戸「なら、あいつらだって同じ最初はみんな普通だったんだ、ここへ来て否応なく引き込まれてしまった、俺を嫌いにならないんなら他の連中だって嫌いになんかなれないはずだよ、みんな苦しみや悲しみ傷を背負い生きてるんだから」

北「トッツー」



俺は何だかこいつが遠くへ行ってしまったような気がしていた。

いや違うな…

一足早く前へ進み大人になってしまったみたいな感じっつうの?

たった2日間で。

ここでの生活を、自分より先に悟ってしまっている。

そんな、トッツーの言葉を聞いてると。

独り取り残されてしまったような寂しさを感じてしまう。

すると、トッツーは。



戸「北山にどうしても話しておきたい事がある」



そう言ってよ。



北「んなに?」

戸「この部屋、俺達が来るまで暫く空室だったんだって」

北「それがどうかした」

戸「前に住んでいた人が、傷害事件起こし今は少年院にいるらしい」



トッツーお前どうしてんな話しを俺にする?





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