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薔薇寮の淫

第7章 心が悲鳴をあげた時

・北山side

北「教えてくれ」

藤「なにを?」

北「そうまでする理由を」

藤「だからそれは、好きだからに決まっ…」

北「それだけか?」

藤「他に理由なんてないって、フッ」

北「ただ、好きってだけで自分の身体売るようなマネしてまで護ろうとはしないだろ」

藤「おまっ」

北「全部話せって」

藤「何が知りたいって言うんだ」

北「お前の想い全てを」

藤「俺の?」



その心の中にある俺の存在理由って何なのか。

それが知りたいって言ってるんだわ。



藤「なんで急にそんな事」

北「お前にとって、俺っていったいどういう?」

藤「‥‥っ」

北「俺はそうまでして想われるような、んな人間じゃねって」

藤「そんなことはない」

北「だから、どうしてだって聞いてるだろ」

藤「‥‥‥」



が、そこまで突っ込んだらこいつ黙っちまってよ。



北「言えねっていうのか」

藤「くっ」



その辛そうな顔を見てあのときの藤ヶ谷を思い出す。



北「なら俺は帰らないぞ」



こいつに初めて抱かれてしまった日の夜に見せた。

あの苦痛に満ちた表情を。



北「俺、知ってるんだぜ。お前がここへ来たとき何があったのか」



そして、そう言うと驚きの表情で見つめ。



藤「なん…で?」



だからもういいだろ?打ち明けてくれたってさ。



藤「北山」



ちゃんと俺なりに受け止めるから話してくれよ。

お前の気持ち。

すると藤ヶ谷は、暫く考え込んでいたみたいだが。



藤「分かった」



意を決したかのように静かに口を開く。



藤「けど話したからと言って俺の気持ちは変わらないから」

北「それでも構わないよ」



だが横尾さんはそんな俺ら2人を。

ただ、黙って見つめているだけだったんだ。

まるで、何かを待っているかのように。





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