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薔薇寮の淫

第7章 心が悲鳴をあげた時

・北山side

藤「俺にとって北山は生きる希望なんだよ」



それはあまりにも唐突すぎる言葉だった。



北「一体どういう意味で」

藤「言った通りさ、フッ」

北「んなんじゃ分からね、ちゃんと説明しろ」



俺がそう言うと。



藤「あの日、目が覚めたら見知らぬ部屋で寝てしまっていて」



藤ヶ谷はポツリポツリと、そのときの心境を話し始めてく。



藤「わけ分からないまま、傍にいた男に襲われここがどういう所だか知った」



そのとき―

絶望して死のうとしたって言うのか。



藤「でも北山の言葉がそれを止めてさ」

北「俺の?」



“もっと強くなれ藤ヶ谷”



藤「子供の頃、周りの奴にからかわれメソメソしていた俺にお前いつもそう言ってただろ」

北「あぁ」

藤「カッコ良かったなぁ、あのときの北山」



どこが?ただ粋がってただけじゃん。



藤「手首切ろうとした瞬間に、ふいにその言葉が耳に聞こえた気がし」

北「それで思い留まった」

藤「会いたいもう一度そう思ったら、クッ」



死ねなかったってわけ。



藤「だから今でもこうして生きている、フッ」

北「おまえ」

藤「だけどマジ辛かったんだぜ、たくさん泣いたし」



と、そう言いながら藤ヶ谷は顔を見上げ。



藤「でも頭の中にはいつもお前から言われた言葉が、離れずにあってさ」

北「‥‥っ」



その瞳には涙が光ってるのが見える。

おまえ泣いてるの?



藤「それが、ときには踏ん張れって言っているみたいに聞こえたり頑張れ負けるな生きろって聞こえたり」

北「んだから希望?」

藤「あぁ生きる希望だったお前に会う為には強くならなきゃって ニコッ」



藤ヶ谷…





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