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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚








「…それをとるのがオレの仕事だ」




…────‼


耳に凛と低く響いたその声はとても落ち着いていて、それらを圧倒的に凌駕してしまう程の自信に満ち溢れた彼の横顔に、アタシの心臓は寝起きとは思えないほどのドッと重たい音を立てた。


きっとその裏には考えられないほどの努力のほかに、葛藤とかしがらみだとか様々ものがあるのだろうけれど、表にはそんなことは一切微塵も感じさせない渚くんが…

それがどんなに凄いことでどんなに彼が魅力的な人間であるかということなんて、周りの人間関係を見ればよくわかることだ。

単なる親の七光りじゃ通用しない世界で、彼を慕ってならない明智専務をはじめとした多くの歳上の部下たちを従え、一歩社交界に足を踏み出せば取り入りたがる女性の数は計り知れない。

そして楓や葵くんと名前をあげればキリがないほどの、彼のプライベートを彩る人間模様をみればもはや語るまでもないだろう。


そんな人が今、自分の隣にいて…

ずっと傍にいてくれて…

そう思えば思うほど、それはなんとも不思議な感覚に思えてきて…


そんな彼にアタシはなにを…


「………」


…した?

…………

………

……



「────‼」

「うぉっ⁉」


突然声にならない悲鳴をあげ、飛び起きようとしたアタシに電話を切った渚くんが驚きの声をあげた。

しかし、


「ヒッ…痛ぅ……」

「バカ、急に起きようとするなよ」


カラダがダルくて重くて、結果的に動いた記録は僅か数センチ。挙句の果てには頭も少し痛くて思い切り顔をしかめる羽目になる。




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