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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚





そして聞かされたのは…



「……お前、実際に熱出してるから…」

「………」

「それ、全部夢じゃねぇから…」

「……‼」


ど、ど、ど…

…どう…し…よう…


一瞬だけ頭が真っ白になる。

だけど…


「勝手に全部夢にしてくれるな。ちゃんと目覚まして現実とオレを見ろよ…」

「………っ‼」


そんな言葉通りに現実に引き戻されたアタシに、恥ずかしい…だなんて考える余裕なんてなかった。

外の夕日よりも情熱的な色に染まる渚くんの瞳が真っ直ぐとアタシに注がれれば、ドクンとひときわ大きな音をたてた心臓がその反動で止まったんじゃないかと思った。

ただ、まっすぐ見つめられて顔に全身の熱が一気に集中する。

熱くて、熱くて、頬っぺたに火が着きそうだ。


どうしよう………渚くん。

熱…またあがった気がする……


「はぁ……つーかさ…」


すると、大きく息を吐きだした彼が落胆するように肩口に顔を埋めてきた。


「あんまり色々心配させてくれるなよ。よく考えろ。夢ならこんな痕つくわけないだろ」

「へ、ぇ⁉……わっ」


そう言って片腕で捲られるブランケット…


って、こ…これは…


「"カラダじゅうにキス"…だったっけ?」

「……‼」

「これで満足?」

「……っ、そ…」


そんな聞き方、ズルすぎるっ~~~~!!


フッと艶やかに微笑んだ彼の視線に誘導されたその先には無数に咲き誇る深紅の花びら。





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