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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚







…そうなのだ。渚が先ほど明智に命じた使いというのは、先日患った風邪により邸で休む千隼のもとへ差し入れの品を届けることだった。

その命(メイ)は彼女がここで倒れた日から連日して続いており、昨日はシェフ特性のフルーツコンポート、一昨日はホテルオリジナルパンケーキ⭐キャラメルナッツバナナチョコスペシャル。そして今日はイチゴソルベだとか…

あれから今日でちょうど一週間がたつ。それでどうやら少しずつ蓄積されてきた明智の不満がここにきてとうとう爆発したらしい。


しかし…


「…あぁ、なんだ」

「ッっ…!?」

「そんなことか…」

「…ッ~~~~~~!!」


いかにもわかりきった表情で明智にほくそ笑む渚。


すると…


「なんだじゃございませ───ん!!」


──どっかーん!!


明智が平静を保っていられたのはものの数秒だけだった。渚の言動に煽り煽られ倍増した彼の怒りが巨大な噴火を再び引き起こす。


「まったく、いったい何をお考えなのですか。先ほども申し上げましたが、私も暇ではないのですよ」

「フン…安心しろ、そもそもお前が暇な時にしか頼んでない。というか、イチゴソルベが溶ける。道草もいい加減にしないと黒崎にシバかれるぞ」

「っ!!そういうことではなくてっ…」

「ならどういうことなんだ。いつも通り邸まで車飛ばすだけだろうが。それのなにがそんなに不服なんだ」


あの、ちゃんと聞いていてましたか、渚さん…

一見そのお顔は真顔にも見えなくはないもないですが…

口許をさりげなく愉快に歪めた魔王が一気に話を振り出しに戻してくれる。




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