今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
向けられた渚の艶のある意味深な笑みに明智の顔から蒸気が吹き出した。
「き、鬼畜──ッ…!!なんてことを」
「は?うるさい…そもそもな、そんなに心配ならさっさと出かけてアイツの顔拝みながらイチゴソルベでも馳走になってこい」
「べ、ベベベベ、別に私は心配など…」
「充分してんだろうが」
「してませ───ん!!」
「……ハァ、わかったわ、もうそれでいい。…ったく素直じゃねぇなぁ。安心しろ、アイツにはなにも伝えてないから…」
「なっ……」
「まさかお前が千隼のことを心配してるとか…」
「…!!」
「まさかお前が自分の恋敵の小娘のことを気にかけてるとか…」
「…!!!」
「夜も眠れないとか、お前の食事が一切喉を通らないとか…」←だいぶ盛ってる
「…!!!!」
「…そんなこと、千隼にはひとっことも言ってブッ!!…ククク」
「っッ─────!!
言ったんじゃないですかぁぁぁああ!!」
思わず言葉半ばで噴き出す渚に、一瞬で明智の顔が真っ青になった。そしてへたり込んだ彼は力なく床に膝をつく。
「…………」
"…ねぇ、渚くん。渚くんはどうしてあの時アタシの嘘に付き合ってくれたの?"
千隼が突然思い出したようにそんなことを渚に聞いてきたのは、彼女が熱に倒れて数日たった日のことだった。
"あの時って?"
"うん、アタシが無理して渚くに会いに行ったとき"
"あぁ、あれな…実は明智が………"
渚は項垂れる明智を横目に、ぼんやりとそのとき千隼に話したことを思い出す。