今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
…あの日、朝から千隼の体調が優れないことに気付いていた渚は、昼、明智に書類の受け取りの使いを頼んだ際、見るからにダメそうなら千隼のことを連れてこないようにと明智に釘を刺していたのだった。
しかし明智は最悪の状況の千隼を自分のもとへ連れてくる。そしてそのことで明智を咎めようとした際に、渚は返って彼にこんなことを言われたという。
"私を叱っている時間があるならば、その時間をご自分のカラダの心配よりも貴方の気持ちに応えたいと頑なに言い張る彼女のためにお使いください。
…心配なお気持ちはわかりますが、時には騙された振りをして、黙って彼女の気持ちに応えて差し上げるのも優しさですよ……"
"…………!!"
「も、もももも、もしかして根に持ってらっしゃるんですか。先日お呼び立てしたこと、本当は根に持っていらっしゃるんですね!!」
「……さぁな、どうみえる?」
渚は頭のなかのビューアーを閉じながら、目の前で悶絶する明智にふと笑ってみせる。
「お前がそう思うならそうなんじゃないのか…」
しかし彼に向けられる眼差しは、相変わらずの口調とは裏腹に暖かなものだった。