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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚






…ケーキがいっぱい見える。

ついでに言えば、アイスもいっぱい。特にアタシのお気に入り、ここのシェフ・黒崎さんイチオシでもあるイチゴソルベが食べきれないほどたくさん見える。
そもそもお皿にはケーキもアイスもいっぱいなんだけど、そういうんじゃなくて…とにかくいっぱいだ。

しかもこの通り、ことの挙句には頭も回らない。ちなみにお酒は飲んでいないのだが…ってことはこれって…


「………渚くん」

「ん?いい加減そのチーズケーキ、オレに譲る気になった?」


あぁ…渚くんが大好きなベイクドチーズ…


「…渚くんがいっぱいいる」

「は…?」

「ケーキも渚くんもいっぱ…」


─フラっ……


頭、重っ‼

そう感じたときにはすでに遅し。眩暈に似た感覚にテーブルに突っ伏す形で目下に迫るデザートたち。

ケーキ近いっ‼アイスも近いっ!!

いくらなんでもそんないっぺんには食べられない─────‼


「…バカ」


ペチンッ‼


…あれ、止まっ…た!?


額から乾いた音がして、真向から降り注ぐ声に咄嗟に固く閉じた瞼をあげれば、

うわっ‼視界を覆うデザートの大海原。鼻先がクリームで冷たいぞ…

そして恐る恐る視線を上に向けると、危うくデザートの海に顔面ダイブ寸前状態のアタシの額を間一髪押さえ留めた渚くん…

…が、やっぱりいっぱいいる。





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