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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚







「…今、アタシどうなってるの?」

「どうなってるはこっちのセリフだ」


あぁ…たくさんの渚くんが呆れてる。

でも、手…冷たくてキモチいいな…

それになんかふわふわ…


「って、お前…っ‼」


ぐるぐる…


「っ、千隼‼」





─数十分後…


アタシは渚くんの部屋へと戻ってきていた。が、一人ではない。勿論、その傍らには渚くんがいる。

そして彼の自室というのは言うまでもなくオフィスの社長室ではなく、いつもアタシたちが生活しているお邸。つまり、今朝目覚めた彼の部屋だ。

ちなみにどうやってここに戻ってきたのかは定かじゃない。

はっきりと覚えているのは、彼とのランチの最中に目眩に襲われたということ。

そして、アタシを抱え社長室に戻った彼が呼びつけた明智さんに急ぎ車の用意を指示した声だけだった。


それからきっと、ヘロヘロになったアタシを渚くんが連れ帰ってくれたに違いない。なにせ朦朧としていて、意識などほとんど無に等しい。

気が付いたらベッドの上に寝かされていて、ただなんとなく頭にあるのは、いつもなら強引に担ぎ上げられるところを今日に限っては横抱きのお姫様抱っこをされたことくらいだ。


「…いつからだ」


ボーッとする頭でなんとか記憶を整理していると、まだジャケットも脱がずネクタイも外さずの渚くんがアタシの顔を覗き込んだ。

その顔は、レストランで額に触れた彼がアタシがひた隠しにしていたカラダの異変を瞬時に見抜いたときと同じ表情をしている。




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