テキストサイズ

今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚







”…なら責任とって…”


彼の申し出にアタシはそう答えていた。

…とは言ったものの、実際のところどうしていいかわからない。


「で、どうするんだ」


ネクタイをスルリとほどき、ジャケットをハンガーに収めた渚くんがアタシが休むベッドの淵に腰を降ろす。二人分の重みを受け止めたベッドのスプリングが軋み鳴いた。

こんな時でさえ、その音が艶かしく聞こえてしまうアタシの頭はもうそれほどにも重症らしい。むしろアタシを蝕む風邪の諸症状たちは、そんな本能的に刷り込まれていることしか思い浮かべられないレベルまでこの身を蹂躙しているということだ。


「…すきに…して…」

「なんだそれ、誘い文句か?」


ふるふると力なく首を横に振ろうとするアタシの体温を確かめるように、渚くんの手の平がカラダのあちこちに触れる。


「わかってるよ。辛いな…」

「ん…」


頭がクラクラする。実際のところ、もはや何かを考えるという行為すらしんどかった。

自分で動こうとすればここは地球じゃないんじゃないかというg(ジー)がそれを抑制するようにアタシをベッドに縛り付ける。

カラダを襲うのは熱さを大幅に上回る寒さで、節々もところどころもう辛い。なのにフワフワして、どこかに飛んでいきそうで、自分のカラダが自分じゃないみたいだ。

それでも苦しくて怖い…などと思わないでいられるのはきっと渚くんのお陰なんだ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ