テキストサイズ

school life

第1章 揺れる心~school life~

 いつものように何気ない顔で教室に入る。思った通りだ。美紅が泣きながらケシゴムで紙の文字を消そうとしている。分かっているけど聞く。


「どうしたの?」


「朝、下駄箱の中に手紙が入ってたの」


「これ、酷いね」


 震える手で美紅は私に手紙を差し出した。それを広げて見て、思ってもない答えを返す。


「先生に言いに行った?」


「うん」


「そっか。で、なんて言ってた?」


「後で話すだって。あたし、テストで一位なんて取るんじゃなかった」


「何言ってんの! 一位とったのは自分の実力でしょ! ねっ、そんなこと言っちゃ駄目だよ!」


「うん、そうだね。ごめん」


「ううん、分かってくれればいいの」


 私は頑張っていい人を演じた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ