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school life

第5章 歪む心~school life~

「草川、ちょっと会議室来てもらっていいか?」

「はい」

 その日の放課後、私は担任教師に呼ばれた。会議室にいたのは見慣れた顔。先ほど喧嘩をしてしまった京子だった。喧嘩の仲直り? 仲直りに担任が介入なんて小学生じゃあるまいし。先生と京子は、何かを話している。

「美紅、今までやってたのね、私だったの。ごめんね……」

「え? なんの話?」

 突然の京子の言葉に私の頭には疑問視しか浮かばない。

「その……嫌がらせのこと」

 嫌がらせ? いたずら手紙。黒板や机の落書き。物かくし。 全部全部、京子が? どう、して……?

「ううん、謝ってくれたし、もういいよ」

 頭の中は思考しているのに、口からはぽんとそんな言葉が出てきた。何故だろう。

「草川、本当にそれでいいのか?」

「いいんです。では、今日は帰ります。一人で帰るのでついてこないで下さい」

 私は、ゆっくり会議室を出た。学校から出ると走った。涙が零れ落ちる。次から次へと溢れて流れて止まらない。どうして? なんで?

 だけど……“許せない”。負けてたまるか。あんな奴に負けない! 冗談じゃない。簡単に許してあげない。私より百倍苦しめばいい。

「あーはははは!」

 私は高笑いを上げた。何かがガラガラと音を立てて崩れた気がした。でも、そんなことどうでもいい。私を苦しめた罰を受ければいいんだ。誰が許しても私は許さない。私が制裁を下すんだ! 

 私は女友達みんなに、明日早く来るようにとメールを一斉送信する。

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